ホームバウルーノート群馬のブラジルタウンで”BAURU”と出会い、ブラジリアンサンドを焼く旅/その1

群馬のブラジルタウンで”BAURU”と出会い、ブラジリアンサンドを焼く旅/その1

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都心から車を走らせること約1時間30分。首都高から東北自動車道を経由して辿り着いたのは群馬県大泉町。

昔からこの地には自動車や家電メーカーの工場が多く立地していましたが、慢性的な人手不足が問題となっていました。
その風向きが変わったのが1990年の入国管理法の改正。その結果、ブラジルとペルーの日系人が多く働く地域となり、街なかにブラジル食材のお店や料理店が並ぶようになりました。

道路を曲がるとポルトガル語やアルファベットが飛び込んでくる景色。ブラジルタウンに足を踏み入れると異国の空間が広がっていました。

ここに来た理由はバウルーのルーツ、つまりバウルーツを探るため。

ブラジルをルーツとして、奇跡のホットサンドメーカーが生まれてかれこれ40年以上。でも、ブラジルで食べられるホットサンドがどういったものだったのか?ずっと気になっていたのです。
…もっとも、堅苦しい研究というよりは、単にブラジリアンフードが食べたい!というのが本当の理由ですが(笑)。

最初に立ち寄ったのがTOMIというパン屋さん。雨空を吹き飛ばさんとする陽気な笑顔のアイコンの下にあるPADARIAという言葉。
これ、パン屋さんの意味もあるのですが、イートインスペースと雑貨屋さんを組み合わせたお店のことを指すそうです。

そして、驚かされるのが開店時間の早さ。なんと、土日は朝の5時から焼き立てのパンを用意してお客さんを迎えているとのこと。
コンビニエンスストアがないブラジルでは、PADARIAがその役割を果たしているようですが、日本でもそのスタイルは変わらないようです。

豊富なパンメニュー!そして、BAURUとの出会い。

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店内に入れば目の前のケースには大量のパンが陳列され、その脇をケーキ類やゼリーといったスイーツ類が固めます。そして、この右側にはソーセージやハムの棚が、裏手には袋菓子や洗剤が並んでいます。

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ということでお待ちかねの朝食タイム。

とにかくパンメニューが豊富です。ハンバーガーとサンドイッチだけでも、軽く20種類以上。それに加えてブラジル定番のポン・デ・ケージョや、キビ粉とひき肉で作った「キビ」という肉団子などのサイドメニューまで。朝9時台に食べるには、あまりにも贅沢なラインナップです。

その中でも、お目当てだったのはやっぱり”BAURU”。フランスパンにハム、チーズ、レタス、そしてトマトを挟んだサンドイッチ。
何年も追いかけてきた料理があと数分で目の前に登場する。そう思うと注文の時点で興奮しちゃいました。

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トマトの赤とレタスの緑が眩しいサンドイッチ。
お馴染みのバウルーで焼かれたホットサンドのように、中まで熱々というのではなく、表面カリッと中のチーズが少しとろける程度に温かな状態です。

さっくりとした皮の軽い口当たり、ジューシーな野菜のエキス。そしてハムとチーズのコクに塩加減。
奇をてらうことのない王道的な組み合わせですが、それゆえ、この美味しさは感動的です。

BAURUにまつわる3つの謎

食べ終えて余韻に浸りつつ、ふと三つの疑問が頭に浮かびました。
一つ目は、「どうしてこんなにフランスパンの皮が薄く、簡単につぶれるんだろう?」ということ。

“Pao Frances”(ポン・フランセース)と呼ばれるこのパン。皮は薄く中は空洞状、材料も異なることもあって、いわゆるフランスパンとは別物なんです。

このパンがブラジルで普及したきっかけは第一次世界大戦。ヨーロッパに滞在していたブラジル人が大戦を契機に帰国した際、持ち帰ってきたのがいわゆるフランスパン。
それを見よう見まねで作ったものが今に受け継がれているそうです。

その形状や大きさもあって、サンドイッチにうってつけ。現地では、シュラスコを挟んだりして食べるそうなんです。

二つ目は「これ、どうやって焼いているのだろう?ということ。」

バウルーの形は日本の食パンの形に合わせたサイズや深さにローカライズされたもの。
ブラジルからその衝撃が持ち帰られて以来、今もその形状は受け継がれています。一方、ブラジルにはポン・フランセースのサイズでホットサンドを作る器具があったそうなんです。
ただ、残念ながら厨房を見ることはできなかったので、ここはもしかすると単純にオーブンで焼いて真ん中でカットし、予熱でハムやチーズが温まったものなのかもしれません。

そして、三つ目は「バウルーのレシピに定義はあるのか?」ということ。

実は、伝統的なBAURUと呼ばれるサンドイッチのレシピは、モッツァレラチーズ、トマト、ローストビーフ、胡瓜のピクルス、そして味付けは塩とオレガノ。と定義づけられています。
なので、ここで食べたものは簡易版のBAURUとなります。
とはいえ、気づきと感動を与えてくれたこの味は、一生忘れることはありません。

「いつかは、ブラジルに渡って本場のBAURUとホットサンドを作る器具に触れてみたい!!!!」

その気持ちをたっぷり挟み込んで、お店を後にしました。

後編に続きます!

【出典】https://www.sanduiche.baurusp.com.br/

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